普段からPOに参加されていらっしゃる方であれば、知っている話だと思いますが、最近の日本郵政の売出やSBI証券 で実施しているPOキャンペーンからPOに興味を持ったかたの中には、違いがわからないもしくは違いを気にしていない方も多いと思います。
実際、先日行われた日本郵政の売出の際も、増資は行われないのですが、「日本郵政 増資」のようなワードで検索されてくる方が大勢いらっしゃいました。
そこで、公募増資と株式売出の違いを見てみます。
■公募増資と株式売出しの違いについて
公募増資の場合は、株式会社が新たに発行する株式を一般の投資家に募集します。
一方、株式売出の場合は、株式会社の株主が売出人となり既に発行されている株式を一般の投資家に募集します。
そのため、以下のような違いが生じます。
・発行済み株式数
増資・・・増える
株式売出・・・増えない
・株式の希薄化
増資・・・おきる
株式売出・・・おきない
・募集された資金はどこに行くか?
増資・・・株式会社
青森銀行の増資であれば、調達した資金は青森銀行の資本金と資本準備金に組み入れられます。
株式売出・・・売出人
日本郵政の売出であれば、調達した資金は売出人である財務省(政府)のものとなります。
■公募増資と株式売出しの違いでその後の株価に差が出る例
公募増資と株式売出しの違いでその後の株価に差が出る例として、今年行われた地方銀行株のPOを見てみたいと思います。
先日、青森銀行のPOが発表されましたが、現時点(10月7日)では、みちのく銀行、大垣共立銀行、百五銀行、南都銀行の4つの地方銀行のPOが実施されており、それら4行のPO発表日の株価、公募価格、現時点の株価、現時点での年初来のリターンを確認します。
PO発表日の株価 | 公募価格 | 現時点の株価 | 現時点の年初来のリターン | |
みちのく銀行(8350) | 227円(調整後2,270円) | 193円(調整後1,930円) | 1,927円 | -14.4% |
大垣共立銀行(8361) | 453円(調整後4,530円) | 344円(調整後3,440円) | 3,145円 | -31.3% |
百五銀行(8368) | 501円 | 444円 | 504円 | +4.6% |
南都銀行 (8367) | 3,955円 | 3,147円 | 3,175円 | -29.4% |
すると、百五銀行だけ他に比べて株価の推移がいいことに気づくと思います。実は、百五銀行だけは増資を行わず株式売出のみを実施していましたが、他の3行は公募増資も実施していました。
同じ地方銀行、同じPO実施企業の中でこれほど株価に差が出るのを理解するには、増資と売出の違いを抑えていないと難しいのではないでしょうか。
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