読者様から「Oneリート投資法人(3290)が売り禁になった後に、日証金で貸株の新規が増えているのはなぜですか?」というお問い合わせをいただいていたので、売り禁なのに日証金の貸株が増える理由について説明します。
読者様は「個人投資家は売れないが、機関が新規で売っているからではないか?」と推測されていましたが、結論から申し上げると違います。
■日証金の貸し株新規への誤解
例えば、日証金のデータで申込日9月12日に貸し株新規が1,000株あった場合、この1,000株は9月12日当日に新規に売られたものと一般的には考えられますが、実際には違います。
当日新規に売られた可能性もありますし、それ日以前に売られた建玉の可能性もあります。
当日新規に売られたものと考えてしますと、売り禁なのに日証金の貸株が増える理由がわからなくなります。
■売り禁なのに日証金の貸株が増える仕組み
A証券しかないと仮定して、9月11日のB株のA証券会社の社内のトータルの信用買残が2,000株、信用売残が2,000株とします。この時、売りと買いを社内で完全に相殺できるため、日証金に申し込む必要がなく、日証金の融資残、貸株残はともに0株です。
翌9月12日、B株は売り禁となりました。B株を新規に売ることはできませんが、信用買の返済は当然可能です。そこで、A証券の顧客が500株信用買いの返済を行いました。(それ以外の取引はないものとします。)すると、A証券会社の社内のトータルの信用買残は1,500株、信用売残は2,000株となります。売りと買いを社内で相殺しても信用売残が500株多いため、日証金に500株の新規貸株申込を行います。この時、日証金の融資残0株、貸株残500株となります。
このように、既存の買建玉が返済された場合、売り禁なのに日証金で新規貸株申込が行われることになります。
■まとめ
・日証金の新規貸株申込は、当日新規に売り建てられたものとは限らない。
・売り禁銘柄の日証金新規貸株申込は、買建玉の返済が原因。
日証金のホームページでもよくある質問として回答があります。イメージ図もあるので、わかりやすいかもしれません。
申込停止銘柄に新規貸株申込があるのは何故か
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