先日、「逆日歩怖くてヘッジがしにくいので、毎回悩みます。」というコメントをいただきました。逆日歩が怖いなら、ヘッジしなければよいのではと思いますが、もしかすると、ヘッジした場合のほうがパフォーマンスが良いと読者様は考えられているかもしれないので、全部ヘッジした場合としなかった場合のパフォーマンスを2017年以降のデータで検証してみます。
ただ、正確なヘッジコスト(金利や逆日歩)を確認するのは困難なので、簡易的に発行・売出価格で購入したヘッジ可能なPO銘柄を価格決定日の翌営業日の始値(※)で売却した場合と、受渡日の始値で売却した場合を比較してみました。(売却にかかるコストは考慮していません。)
※受渡日までに配当落ちが発生する場合は、その分を差し引いています。
パフォーマンスの比較
2017年
2017年は対象となるデータは56件ありました。
価格決定日の翌営業日の始値で売却した場合の平均騰落率は、+3.0% 、
受渡日の始値で売却した場合の平均騰落率は、+2.7% でした。
2018年
2018年は対象となるデータは54件ありました。
価格決定日の翌営業日の始値で売却した場合の平均騰落率は、+2.8% 、
受渡日の始値で売却した場合の平均騰落率は、+2.8% でした。
2019年9月20日時点まで
2019年(9月20日時点まで)は対象となるデータは22件ありました。
価格決定日の翌営業日の始値で売却した場合の平均騰落率は、+2.6% 、
受渡日の始値で売却した場合の平均騰落率は、+3.2% でした。
ヘッジしたほうがお得とはいえない
2017年は、価格決定日の翌営業日のほうが受渡日よりも0.3%得をしていますが、ヘッジコストを上回っているかは微妙です。2018年は、どちらで売っても同じパフォーマンスだったので、ヘッジコスト分損です。2019年は、受渡日で売却するほうがパフォーマンスが良かったです。
そのため、機械的に全銘柄価格決定日の翌営業日の始値でヘッジするなら、すべてヘッジしないほうがパフォーマンスは良いといえそうです。
大きな損失に備えたい
多少のパフォーマンスを犠牲にしても、大きな損失に備えたいという需要はあると思うので、ヘッジしなかった場合の最大損失を確認してみました。
2017年以降だと、ヘッジ可能なPO銘柄で受渡日に一番騰落率が悪かったのは、2017年のフジで受渡日の始値は発行・売出価格比-3.1%でした。
ヘッジ可能なPO銘柄の場合は、大きな損失は発生しにくいです。(もっと長い期間でみると、大きな損失があるかもしれません。)
高額な逆日歩がつく銘柄はヘッジせず受渡日に売ると損をするのか?
これについては、検証できないが、2019年のインソースは高額な逆日歩が発生していたが、受渡日の始値は発行・売出価格比+5.0%となっており、少なくとも高額な逆日歩がついているとき、受渡日に売って必ず損をするとは言えないです。
勝率を重視しすぎている?
逆日歩を気にしている方は、もしかすると勝率を非常に重視しているかもしれません。というのも、価格決定日の翌営業日の始値時点で、発行・売出価格を下回る銘柄は一つもなく、ある程度の鞘があるので、高額な逆日歩が発生しなければ、まず負けないからです。
そんな、勝率をそれこそ利益以上に重視する方には、トレーディングエッジ入門―利益を増やしてドローダウンを減らす方法 (ウィザードブックシリーズ138)を読んでみてもらいたいです。
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